気ままにBL鑑賞

主に文学BLや耽美を好んでますが、最近はいろんなBLに首つっこみ中!

〈感想〉モーリスと仮面の告白

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引用:ソフィーアート 映画(欧米): モーリス

 

とうとうBL映画の金字塔、モーリスをDVD購入で視聴しました。

イギリスの文豪、E・M・フォースター原作の文芸作品が原作です。

よって音楽、映像ともに格調く、もはや聖典の域を感じさせる映画でした。

 

同じ日に三島由紀夫の有名なカミングアウト小説仮面の告白を読んだので、一緒に語っていきたいと思います。

 

※ネタバレしていますのでご注意を

 

~ネタバレあらすじ~

 

☆モーリス

1900年代初頭、単純でまっすぐな青年モーリスケンブリッジ大学で彫像のように美しく賢いクライヴに出会う。

こちらモーリス

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引用:モーリス <HDニューマスター版> | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

こちらクライヴ

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引用:https://www.gdnonline.com/Details/91053/What-happened-to-the-hunky-Hugh-Grant/99513

クライヴとの哲学的な会話や優雅な物腰にモーリスは感銘を受け、

クライヴから告白されたことを機に愛し合うようになる。

 

ギリシャ的な愛に身を浸す二人だったが、肉体の接触を拒むクライヴにより、

キス以上の関係にはならなかった。

しかし、時代は同性愛を許さなかった。

ある日、ケンブリッジの同級生が、同性愛の罪で逮捕されたのだ。

法曹界に入ることを志すクライヴは、同性愛から身を引くことを苦々しく決意する。

 

必然的に関係が変わっていく中で、モーリスは自己と葛藤しながら向き合うことになるが、クライヴの結婚で生き地獄を味わうことに。

あくまで友人として接するクライヴだったが、それがモーリスにとっては苦痛以外の何物でもなかった。

 

そこにクライヴの家の使用人の青年、アレックが現れる。

やがてモーリスは粗野ながら愛をぶつけてくるアレックに惹かれ、身分の差に阻まれながらも、二人で一緒に歩むことを誓う。

モーリスはそのことをクライヴに宣言し、静かに去っていった。

クライヴは家に戻ったクライヴは、窓を閉めようとした刹那、輝かしいケンブリッジの中に去っていく若きモーリスの幻を見たのだった。

 

オススメ度☆☆☆☆

親と見れる度☆☆

全てが美しく、胸が苦しくなるようなやるせなさのある作品です。

なので、切ない気分に浸りたいときにおすすめ。

あと、原作を読んでいないと登場人物の心理や行動の理由が読めないので、

原作を読むことは大事かと思われます。

なお、モロに男性の大切な部分が思いっきり見えているシーンがあるため、

一人で鑑賞したほうがいいです(笑)

 

 

仮面の告白 (三島由紀夫全集 筑摩現代文学大系68)

主人公の「私」は幼い頃からある二つのことに異様な興味を持っていた。

それは、「死」と「同性への愛」であった。

常に片思いを続ける「私」であったが、大学時代のある日とうとう友人の妹である園子という十九歳の少女恋愛のような関心を抱く。

それからというもの、無感覚な愛情を抱えながら主人公は様々な女性と関係を持つが、

結局なにも感じることはできなかった。

しかし彼は園子への執着ともいえる感情を通じ、「正常な仲間」に入ったことを喜ぶ。

だが、揺れ続ける女性への感情とは裏腹に、一切揺れることなく貫かれたのは、男性への愛なのだった…

 

私的感想

肝心のBLは片思いだらけです。そして女性との恋愛パートがやたら長いです。

とにかく三島さんが筋肉男子と死ぬことに興味があったことはわかりました😅

読んでいてモヤっとしましたが、これはそういえばBLというより、

揺れ動く青年のことを描いた自伝的小説なのでした。

 

ならば仕方ない…と己を納得させております。

おそらくほとんど事実なので、「ある日美しい少年が私の前に現れ、彼と青春を…」みたいな流れは期待してはいけません。←現実(;´༎ຶД༎ຶ`)

 

あたりまえですが、女性登場に対する視聴者・読者の反応は顧みられていません。

昨今のBL作品がそこらへんを巧みによけて、良い感じの割合とキャラ性を帯びて女性キャラを出しているのに対し、この話はほぼ園子さんの独壇場です。

 

いいから、いいから男を…!!!

 

と思った私でした…。

ここで萎えるか、大丈夫かは人によるでしょうねえ~。

ただ、作家・三島由紀夫の人生に興味がある人は絶対に読んで損はないと思います!

 

恒例の萌え語り

まずはモーリスから行きましょう。

なんといってもこの映画最大の萌えは、前半部のクライヴ&モーリスの愛情物語です。

腐女子的には短すぎて泣けてきますが、全シーン無駄はないです。

 

①弱るクライヴ

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出典:Maurice-0464

とにかくクライヴは弱る姿が絵になる男です。

あの甘く優しい垂れ目に魅惑的な笑顔(しかも弱弱しく)微笑まれたら、全力で助けたくなります。

実際モーリスも看病する気満々だったし(笑)

普段は紳士で、モーリスより精神的に大人な分、よりギャップに萌えます。

すごく品があるのに、全身色気みたいなあの存在感はどこからくるんだ?!

 

②一瞬のデート

原作だともっと丹念に描かれていたデートですが、超はしょられていました。

そのかわり、密度が濃い!!

こんな草むらでいちゃついてたら真っ先に逮捕されない?と思っちゃいますがそこはスルーで😅

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出典:https://raremeat.blog/maurice-1987/

モーリスとクライヴが手を握り合い、愛を語らうこのシーンは、クライヴの潔癖さとモーリスの熱い想いをよく対比させていました❤

モーリスがクライヴのはだけた胸をちょいちょい触っているのも眼福です。

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引用:伝説のhiropoo映画日記

完全にモーリスになりきってみてました。

金髪と黒髪の美しさを堪能しまくりました。

このイチャイチャ、続くものなら百万年は観ていられます。

 

③積極的な時のクライヴと、それを受け止めるモーリス

クライヴ、肉体関係を拒みながらも、自分から告るわ、抱きつくわ、ほっぺとかにキスするわ、モーリスへの愛が可愛らしくあふれかえっていた時期がありました。

普通だったら苦しくなりそうですが(モーリスが)でも愛されているという絶対的な自信があったからこそ、二人だけの世界にのめり込めたんでしょうね。

https://screenmusings.org/movie/dvd/Maurice/images/Maurice-0155.jpg

出典:Maurice-0155

↑むぎゅクライヴ。ちょっと戸惑うモーリス

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引用:Maurice/モーリス | ~My crush is~

↑自分から飛んで行って抱き着いたあとのクライヴ

 

アレックとモーリスの関係は結構唐突に描かれ、唐突気味に終わっているので、原作を読んだ者としてはやや不服。

でも、役者さんが大人過ぎず子ども過ぎずでとても良かったです。

粗野な中にも小ぎれいさがあってね、モーリスとのラブはモークラ(クラモー?)を応援してきた者としては複雑ですが、この子は単体でいてもすごく萌えます。

でもあのシーンで大事なところが見えていたのは驚きでした…!!!

 

仮面の告白はBL部分は片思いしかないので、とりあえず可愛い三島少年の様子を思い浮かべて萌えるしかありません。

彼は基本的にムキムキ系お兄さんが好きなので、女子のように陶然となっている姿が可愛いと言えば可愛い。

特に萌えたのは、同級生の近江君という体育会系の男子にふと頬をさわられてドキドキするシーンです。

 

歴史小説としての価値

仮面の告白」、「モーリス」で共通しているのは、閉じられた上流階級で繰り広げられる密かな愛という点にあると思います。

 

片やケンブリッジ、片や学習院なので(笑)

それに戦前ですから、貴族感満載です。

 

特にモーリスの登場人物は毎日が晩餐会みたいな生活なので、小道具やドレスが見ていて楽しいです。

今や禁断感もなくなってきたBLですが、モーリスや三島さんの生きた時代には許されざる行為でした…

特にイギリスでは逮捕、時代によっては死刑と、かなりの重罪です。

 

よって差別的な発言も作中頻出します。

でも、映像美と人々のお上品さがそれを覆い隠しています。

映画の中でイギリスらしく常に冷たい雨が降っているのも、

その哀しさを助長させています。

 

仮面の告白では、戦前~戦後の風俗や生活が描かれているので、モーリスとともにそういった価値も付随している気がします。

モーリスなんか、ふつうに外国の大学で卒業生が被る帽子をかぶって生活しているんですよ!

あの時代は、あれは卒業式ルックじゃなくて、普段着(の中でも正装)だったのか‼

女学生の袴的なものでしょうか。

 

苦悩する三島さんとモーリスから浮かび上がる人間性

世間に言えぬ苦しみから、原作でモーリスは銃で頭を打ちぬこうと決意します。

また、三島さんは、「この車、俺を轢いてくれないかな」と思うようになっていきます。

 

ものすごい量の苦悩です。最近、大学の授業で「私は生きづらさを感じたことがない」

と言っている子がいて「すごー」と思った筆者ですが、たぶん、苦しみがちな人には、三島さんやモーリスが抱えた圧倒的な孤独が少しでも理解できるんじゃないかなあと思いました。

 

よく、上質なBL映画や小説の宣伝で、「BLだけでは言い尽くせない普遍性」的に言われることがあって、なんかBLなことが超個人的な話みたいだなあ…と思っちゃうタイプですが、この二つの作品には、そういった普遍性があるのは確かです。

仮面の告白での、この文章はそれをよく表しています。

 

苦しみはかう告げるのである。『お前は人間ではないのだ。お前は人交わりのならない身だ。お前は人間ならぬ何か奇妙に悲しい生物だ』

引用:100頁

 

こういう超孤独とどう向き合うか、違いをどう認めて生きていくかという点でも参考?になるかもしれません。